自己免疫疾患で髪が全て抜けたのに彼氏にカミングアウトしていない友人。私は詐欺だと思った

友達が自己免疫疾患で髪が全て抜けた。僅か2週間余りで。それ以外体調不良はなし。

友達には遠距離の彼氏がいたけど、その彼氏にはウイッグを被って誤魔化していた。
最近のウィッグってすごい。マジで言われても気づかない。間近でみてもわからない。

私としては「言った方がいい。受け入れてくれる人ならいいが、そうでないなら早くしないと彼氏の時間まで奪うことになる」と伝えていたけれど、それでも踏み切れなかったようだった。

「彼氏にいつ言おう　＃本当の私を見て　＃助けて」
みたいな投稿も頻繁に。

私は「健康な恋人を、病人の自分に付き合わせて悪いと思わないの？カミングアウトしてるなら許されるけど、それは詐欺と同じだよ。私なら許せないよ。」と話すこともあった。

飲み会でも彼女の話題になると、私ほどでないにせよ「カミングアウトしたほうが楽になれるとは思うんだけど…」という感じ。

ある時、友達が彼氏とSNS上で繋がっていることに偶然気づいた。

私は顔も見たことない、声も知らない彼氏にDMし、彼女はウィッグであること、髪はないこと、そして治療中の別垢を教えた。「カミングアウトするように言ったが、中々思い切れないようだった」と伝えた。

しばらくして「電話で話せないか」と言われて、LINEで電話した。
話し合いは数時間に及んだ。

・病歴を隠すのは詐欺と変わらない行為と思った
・自己免疫疾患なのだから、今後も体調不良が出るかも
・そうでなくとも髪がなくなるのは女にとって辛いこと。彼女は精神的にもかなりキツい状況にある
・私個人としては、彼女のどちらとも言えない態度にとても苛ついていた。口に出さないだけで、他にもそう思ってる友達は結構いる
・病気になって人が変わりメンヘラみたいで別の生き物みたいだと感じることもあるし、いつ死んでも驚かないレベルだと仲間内で話したこともある。

と思ったことを話した。

「実は彼女と結婚を考えていました。だからこそ凄く悩んだんだと思います。あなたも悩んだ末に言ってくれたのもわかります。接し方を考えてみます」
と言われた。

数ヶ月後、別の友達から「ちょっとー…あんたほんと、なんてことしたの…」と電話があった。

聞いてみると、彼氏さんが素直に「私さんから聞いたんだけど」と全部話したらしい。
友達にとってはウィッグ云々より、「いつ死んでもおかしくないと他の仲間にも思われていた」ということがショックだったらしく、私たちと距離をおきたいと言われたそうだ。

「それでメンタル安定するなら私たちから距離置けばいいじゃない」と思ったんだけど、他の友達からは

「なんであんたが先にカミングアウトしちゃったの」

「確かに死なないかと不安になる投稿もあった。でもメンヘラは酷くない？私たちそんなこと言わなかったよ」

「詐欺師は言い過ぎだよ」
と言われた。

その後「Twitterやめます。LINEも、家族とだけやります」と投稿があり、仲間内で飲む時も、ずっと彼女は姿を表さなかった。

その数年後、彼氏さんから「友達は癌で亡くなった」「あなたからの話を聞いて、結婚を早めてよかった。彼女といて幸せでした。ありがとうございました」と連絡があった。

まあ今日が命日なんだけど、「だってあいつメンヘラだったじゃん…」とあの時のことを思い出す。