特に祖父が、天然風味の祖母にベタ惚れ。
明治生まれのかくしゃくたる厳しさを持ちながらも、祖母をいつもエスコートしていた。
ある朝、いつものように「おじいさん、おはよう。今日は良い天気だよ~」と話しかける祖母。
その瞬間、目を開いた祖父。
いつもの眠たいような目ではなく、ぱっちりと。
「あら、おじいさん!今日は気分が良いんだね?良かったね~!プリン食べるよね?」と、ハイカラな祖父が大好きなプリンを、口を開かせせっせと食べさせる祖母。
…が、なにかおかしい。
飲み込まない?と不安になった祖母、息子(私の父)を呼んでみた。
「おじいさんがプリン食べないんだけど…」と、言われ、「どれ?」と父親の様子を見た息子、仰天。
「おばあちゃん!おじいちゃんは気分が良いんじゃない! 瞳 孔 開 い て る !!」
それから一気に修羅場。
必死に胸を押す父と息を吹き込む祖母。
主治医に電話する母。
身内がやる人工呼吸って、辛いらしいね。諦めるタイミングとを図るのがね。どんなにもうダメだと思っても、永遠に続けたくなるらしいね。両親と祖母が言ってた。
主治医が来るまで粘った3人は「あれほど辛いことはなかった」と、話していたよ。
お通夜の時、その悲しい話を黙って聞いていた我が姉がひとこと。
「う~ん、でもさ。誰が一番修羅場だったって、実は、祖父なんじゃない?」
………確かに!!瞳孔が開いていたから意識も苦痛もなかったと思うけど、いまわの際に、愛妻から口にプリン突っ込まれたおじいちゃんが一番の修羅場だ!!
もうね、そう思うと、94歳での文句が付けようのない大往生だったこともあり、家族全員で泣きながら大笑いをしてしまったよ。「おじいちゃん、お疲れ様!」って。
祖母も笑ってた。顔を涙でクシャクシャにして「私ったらねぇ…」と。でも、そんな祖母が好きだったんだ、祖父は。いつも笑っていたんだ、愛おしそうに。
…祖父が亡くなって早10年。実家では、祖父の仏壇にプリンだけは供えませんw
早いなぁ…。もう、祖父の大好物だったプリン、解禁しても良いかなw
意識なかったんだし、味わったりはできなかったにしても、最後に、
大好きなおばあちゃんから、大好きなプリン食べさせてもらって
幸せだったんじゃないかなー。
プリンお供えしてもいいと思うよ。
ありがとう。なんか涙出て来たw
今度実家に帰ったらお供えするね~!!
素敵な夫婦だったんだね
可愛くて素敵なおばあちゃんだ。おじいちゃんも素敵だったんだろうね。
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