8年前に別れた元旦那と出会った頃の話。
私はバツ1の子持ち(小学生・女児)で、元旦那より9歳年上。
元旦那は、九州出身で10代のころに両親に死なれ、某格闘技のプロを目指して上京した。
上京後は精一杯頑張ったが、ケガのために引退。
現在は普通のサラリーマンをしていると言っていた。
若い頃に苦労をした割に生真面目な性格だったので、それから半年ほどして入籍した。
それも、九州出身どころか隣の市が出身地だった。
今まで聞いていた経歴のほとんどが嘘だった。
入籍してすぐに同居を始めた。
元旦那は20代で大食漢だったから、スタミナの付く大盛り弁当を毎日持たせた。
会社から帰宅すると毎日きれいに平らげて、おまけに弁当箱まで洗ってたので気持ちよかった。
ある時、元旦那の母親と偶然町で出会ったので、カフェで近況報告をした。
すると元旦那の母親は「息子は糖尿病なので、もう少し弁当の献立を考えてほしい」と言った。
えっ? 糖尿病?? そして、なぜ弁当の中身を知っているの???
と訊ねると、元旦那は普通のサラリーマンではなくて、父親の自営業を手伝っているので、弁当は毎日両親の家で食べているとのこと。
糖尿病は20代の初めのころに発症していたので、毎日カロリーの高い弁当を食べいるの見て心配だったそうだ。
その日、元旦那が帰宅するとすぐに問いただしてみた。
すると元旦那は怒り狂って母親に電話をして叫んだ。
「オマエ!なに勝手なこと言ってんだ!コロすぞ!!!」
ああ、この男はダメだと悟って、すぐに離婚した。
離婚後、8年が過ぎたつい最近のこと。
どうしても会って話をする必要があったので、当時住んでいた家の最寄り駅で待ち合わせをした。
元旦那は離婚当時は年より若く見えて、それにかなりのイケメンだった。
現在は、私はアラフィフになったが、元旦那はまだアラフォーのはずだった。
ところが、待ち合わせ場所にやってきた男はどう見ても初老だった。
頭髪は白髪交じりで、歯は何本かかけていた。
脚が悪いのか体が上下左右に揺れて、かなりの歩行困難だった。
駅前の喫茶店に入って近況を訊いてみてさらに驚いた。
歯は欠けているのではなくて、実は上下とも総入れ歯。
その入れ歯の歯が欠けていたが、修理に行く治療費が無いらしい。
脚が悪いのは、仕事中の事故で膝の皿が割れたそうだ。
手術が必要らしいが、重度の糖尿病のため複雑な手術は出来ないらしい。
いろいろと衝撃的だったが、私にできることは無さそうなので、用件だけ済ませて帰宅した。
別れ際に見せた、元旦那の恨めしそうな眼に修羅場を感じた。
最後の用事になるといいね。粘着されそう。
離婚して数か月は毎日電話やメールがありました。
私の職場に来たことも多数あったので、「もう来ないで」と言いました。
する元旦那は「なんで?」と心底不思議そうに言ったので、
私は「離婚した意味って解ってる?」と言いました。
元旦那は数秒間考えたのちに「ああ、そうか!」と言って帰りました。
それからは、こちらから連絡しない限り向こうからの接触はありません。
いまのところは、ね。
今までにあった修羅場を語れ 35話目
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