私の実家の地元では、お見合いして順調に話が進んだら、結納・婚約の前に互いの戸籍を、相手には知らせずに確認するのが常識だった。
本人たちがやるんじゃなくて、親たちがやる。
戸籍謄本は、記載されている誰かの名前を騙って、ハンコがあれば、あっさり出してもらえた。
「(相手)様のお宅が立派過ぎて、うちには過ぎた御縁ですので」と言うのが決まり文句、言われた方の親も「御縁がありませんでした」と引き下がるのがルールだった。
本人たちも深くは突っ込まず、それに従った。
もちろん、本人がまっとうな人なら他のことは気にしない、ということもあった。
例えば本人がよそからもらった養子で、でも本人は知らされてなくて、戸籍に記載はあったが両親がうまく隠し通してきたということで、相手の家も納得して、一生そのことは言わないでおこうとなって、幸せに結婚したということはあったが、それはまれなケース。
仲人を通して、「うちには過ぎた御縁ですので」の決まり文句を言われて、何事だと戸籍を見てみたら、父に婚外子がいて、認知していて、ばっちり戸籍に記載されていた。
母も知らなかった。
それまで戸籍を見たことがなかったのかと言われるだろうが、私が18歳の時に、海外旅行をするのでパスポートを取って、その時取った戸籍には何も問題はなかったのだ。
私が21歳の時に、よその女との間に作った隠し子だった。
父とその女とは長いつき合いで、一度父の子を流産したことがあって、今度こそ生みたいと泣かれて仕方なく……じゃねえよ!
見合い相手の人は「あなたには関係のないことだから、このまま進めたい、結婚したい」と言ってくれたが、恋愛から始まった仲ならそれもありだろうが、お見合いは条件から入るもの。
条件に合わなくなったら進めていけない、相手の家にも礼を欠く、と私は思った。
母は可哀想だったが、お嬢様育ちの母は「私って可哀想」ばかり言って、自分の実家に逃げて隠れてしまったので、何もかも嫌になって、私は一人で東京に出た。
それまでは一応、良家の一人娘で、仕事もコネでぬるくやっていたのだが、それが通用しない東京で、ハローワーク通いから始めた。
以後はずっと一人でやっている。
何の神経がわからないのかというと、
見合い相手の戸籍を確かめるという習慣があって、隠し子なんかいたら一発で破談になる、とわかっていたはずなのに、
「(私)も、いよいよ嫁に行くのか……(しんみり)」
「(見合い相手)君とも飲みに行かなきゃな(ウキウキ)」
「(見合い相手)君もまだ若いから、初めは共稼ぎかな?(笑)」
などと、「花嫁の父」ごっこをぬけぬけとやっていた父の神経がわからんのである。
その神経がわからん!その39
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