台所で夕食の支度中に突然目が回って立っていられなくなって
つべたい床に横になったら気持ちよくてほんの一瞬寝てしまった。
焦げ臭くてハッとなって目が覚めたら、車椅子の義母が見下すように見てて
私と目があったら向こうの部屋に行った。
鍋が焦げてた。
そもそも義母が不自由なのは足と左腕で、頭はしっかりしてるし
利き腕でお箸つかってごはん食べられるんだからガスを消すぐらいなんともないはず。
とにかく気難しい人・・・と言うより意地糞悪いババアで大嫌いだったけど有料老人ホームに入ってもらう経済的余裕がなくて、比較的安価な特養の順番待ち状態が続いていた。
その日は夜になっても気持ち悪くて、横になったら天井がぐるぐる回って吐き気もした。
夫は地方に出張中だったんだが、娘(当時中学生)が出張先に電話して帰ってきて欲しいって頼んだらしいが、仕事だから無理と断ったとあとで聞いた。
翌朝、ケアマネさんに頼んで急遽義母をデイにお願いして学校を休んだ娘に付き添ってもらって病院に行ったら即入院になった。
メニエル病だった。
子供だと思ってた娘が、普段の私の様子を見てて理解していたらしくケアマネさんに連絡をとって事情を話し、相談しながら義母をとりあえずショートステイに入れ、安心して入院生活で疲弊した心と体を治療していたらある日娘が「お母さん、離婚しなよ」と言った。
こんな大事な時に帰ってこないお父さんなんか要らないよって。
誰のお母さんだと思ってんだよって。
でもそうじゃなくて、娘は知ってたんだ。夫が浮気してること。
私は全然気付かなかった。
娘は一年ぐらい前から知ってて、でもそれを私に言うとショックで倒れるんじゃないかって
ずっと悩んでたらしいんだ。
だけど私が倒れた時に仕事優先で帰って来ない父親に心底失望し、なんでもかんでも嫁のせいにする祖母(義母)にも失望し、何も知らずにストレス抱えながら倒れるまで介護してる母親を見るのが辛かったって。
なんかそこまで娘を苦しめていたと知って、もっとショックだった。
とにかく退院までこの事は黙ってるように言った。
退院したらちゃんとお母さんがお父さんと話するからって。
そして、姉に頼んで夫の素行調査をしてもらった。
私が入院してるのをいいことに、義母がショートステイにいるのをいい事に
ずいぶん気前よく証拠を押さえさせてくれたようだ。
退院後・・・と言っても完治したわけではないけど、まず娘に調査して証拠を押さえたことを話し、教えてくれてありがとうと礼を言った。
お母さん、離婚するけど本当にいい?って聞いたら「頑張んな」って言われた。
「お母さんについていくから」とも言ってくれたので気合いが入った。
指定した慰謝料額が払えないなら仲人(夫の上司)に相談するって言ったら割とあっさり了解した。もちろん相手の女性からも年収以上の慰謝料ぶんどった。
その後、娘とふたりで2DKのアパート暮らしが始まったけど
ストレスが無くなって少しずつ体調も良くなった。
ただ、受験の大事な時期にゴタゴタしてしまって
第一志望に失敗したことが申し訳なくてずっと気にしてたんだけど
その後は順調に自分の夢に近づいてくれたらしい。
一昨年娘は結婚し、先日孫を見せにきてくれた。
あの時、娘の一言がなかったらどうなってたんだろう。
きっと今みたいな穏やかで幸せな生活はなかったと思う。
元夫のことは知らん。
女に逃げられたことだけしか知らん。
お疲れ様
頑張ったんだね
まだ小指の先の爪の垢程度は気持ちが分からんでもないが
ただの女中扱いだったか
今までにあった修羅場を語れ【その13】
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