505: 癒されたい名無しさん 2005/01/18 17:57:10 ID:jzt5sFDG
小学生の頃、自営業を営んでいた父を、ませたクラスメイトがミナちゃんのお父さんは低学歴だからお豆腐屋さんなんだね!と馬鹿にした。
私は深い意味も考えずに少しづつ父に対して、低学歴だから…と見下すようになっていった。
せめて自分は、高学歴の男と一緒になろうと思った。子を持ったとき、自分の父を尊敬してもらいたかったからだ。それが愛情だと信じた。
結婚した相手はミナの望み通り、高学歴の男だった。
結婚前の漠とした不安はあったものの自分では上出来だと思っていた。
数年経ち、男は仕事のストレスを全て家に持ち帰ってはミナに当り散らした。厭味をいうのは日常茶飯事だった。
「ただの飯炊き女」「俺がいなければ生きていけないのだから、せいぜい奉仕しろ」など外面の良さとは裏腹なだけにミナには耐え難いものになっていった。
結婚前の不安は的中した。
ミナは母にも愚痴をこぼす日が多くなった。
離婚さえ頭をよぎった。
ある日。
普段は酒を飲まない父が珍しく泥酔し、ミナの家を訪れた。
そしていきなり夫の前に土下座すると「この子は、本当に大切に育てた可愛い娘なんです。頼む、幸せにしてやってください」と頭を垂れた。
夫は激怒した。
足元の覚束ない父を担ぐように夜の町をミナは実家への道のりを歩いた。
「ミナは、本当にいい子なんだ、大切な娘なんだ…」父のつぶやきがミナの耳を何度も打つ。
お父さん、ごめんなさい、ごめんなさい。
ミナは人目もはばからずに涙を落とした。
ミナは、離婚に踏み切った。心配顔の父に、久しぶりに屈託のない笑顔を向けながらミナは言った。
「心配しないで。私、今幸せだから。今度はお父さんみたいな、家族想いの優しい人と結婚しようかな」
涙が出るほどいい話 2粒目
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